「これまでお菓子作りやパン関係の仕事をしていたのですか?」
ふぁくとりーNolleyをオープンしたときに何人かに言われた言葉です。
私はこれまでお菓子作りやパン作りに関わる仕事についたことはありませんし、専門的に学んだこともありません。
「それでもお店が開けるの?」と思うかもしれませんが、現に開いている人がここにいます。
「知識や技術はほどほどでいい」と考える理由
私は、開業に必要な知識や技術はほどほどでよいと思っています。
もちろん、自分のお店の商品を作るために必要最低限のものは必要です。
しかし、その道一本でやって来たプロのパティシエやパン職人に、これまで別の仕事をしてきた人がかなうはずがありません。
さらにいえば、上には上がいます。その部分で競ってもあまり意味はないのではないでしょうか。
ビジネスとしてやっていくには、技術力よりむしろコンセプトやターゲットをどう設定するかの方が大事なのではないかと思います。
せっかく高度な知識や技術があっても、売り方が間違っていたり、全体的な仕事のやり方がまずかったりすれば、軌道に載せるのは難しいでしょう。
私が知識や技術はほどほどでよいと考えるにはもう1つ別の理由があります。
知識や技術には終わりがありません。それを重視すると、いつまでたっても開業できないと思うからです。
勉強熱心なのはよいことですが、ある程度の割り切りも必要なのではないかと思います。
本、リアル教室、オンラインセミナーを組み合わせて学ぶ
そのような考えを持つ私がパン作りとお菓子作りを学んだのは、主に本です。
これまでに何冊もの本を読みました。最初はその本に書かれているとおりに作ってみて、少しずつ自分なりのレシピを作っていきました。
何冊か読めば、材料の配合は違っても、共通する要素が分かってきます。
しかし、本やインターネットだけはどうしても分からないことがあります。そんなときに活用するのが、教室です。
教室に行くと、必ず何らかの発見があります。なぜその手順にするのか、なぜその配合にするのか。
こんな道具があった方が作業しやすいんだな、と思うこともありますし、道具の使い方そのものの勉強になることもありました。
疑問に感じたことは、その場で講師の方に質問します。
お菓子やパンの作り方やレシピそのものを勉強しに行くというよりは、どのような考え方でそのレシピができているかを勉強するという方が正しいかもしれません。 質問したときに「これはこうだから」と明確に答えられる講師であれば、しっかりしたバックグラウンドをお持ちであることが分かります。
私がこれまでに受講してよかったなと思うのは、オンラインのお菓子教室です。東京都小平市のお菓子教室「スタジオジェンマ」を運営する高橋教子さんは、教室の先生を教える先生。
一般的な料理教室やお菓子教室では作り方を教わることができますが、基本的な考え方が理解できていないと、作るものが変われば一からレシピを学ばなければなりません。
その点、「なぜ?」にフォーカスしている高橋教子さんのレッスンは、オリジナルレシピにも応用できるのがよいと思いました。
今後は、オンラインを活用したレッスンも増えていくでしょう。高橋教子さんのレッスンは、一度東京までリアルに体験しに行って、とてもよいと思いました。
時間とお金には制約がある だからこそ自分ができることを考える
リアルの教室には、どうしても時間と場所の制約があります。有名な先生や情報発信を積極的にしている先生は都市部に多いので、地方から毎回行くとなるとかなりの負担になります。
しかし、探してみると高橋教子さんのような方とも出会えます。地方だからといってあきらめるのではなく、リアルとオンラインを上手に組み合わせて展開している教室の先生を探してみるのがおすすめです。
私たちが持っている時間とお金には限りがあります。どちらにも制限があるので、これまで他の仕事をしていた人がお店を開くときには、その道のプロにはかなわないことを潔く認めることも1つの考え方です。
私の場合は開業の日時を決めて、それに向けてできることを精一杯やりました。
実際にやってみてから学べることも、こんなときはどうすればいい?と思うこともたくさんあります。開業後も「少しずつアップデートしていけばよい」と考えれば、一歩を踏み出しやすいのではないでしょうか。