メディア露出の問題点はターゲット層が来てくれるとは限らないこと


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ふぁくとりーNolleyはこれまでに何度か新聞やテレビでご紹介いただいたことがあります。

 

新聞やテレビに出れば「さぞかし売れるのは?」と思うのではないでしょうか。

 

メディアに露出すれば、新しいお客さまと出会う確率は上がります。ただし、自分がイメージするお客様が来てくれるかどうかは別の話です。

 

メディア露出の効果が長持ちするのはテレビより新聞

 

たしかに、広告宣伝効果はあります。テレビと新聞では、新聞の方が長い間効果を感じます

 

新聞に出た後2ヶ月間くらいは「新聞を見た」と来てくださる方がいらっしゃいました。

 

紙媒体は形に残るので、当日の新聞を見ていなくても記事を読むことができるからではないかと思います。

 

先日は「新聞がずっと気になっていて、ようやくネットで注文した」という方にも出会いました。

 

その方は、なんと2年以上も前の新聞を切り抜いて残していたといいます。

 

テレビ局の取材は、新聞に掲載されたことがきっかけでした。

 

常にネタを探しているメディアは、一定の期間を遡って情報を探すことも理由の1つではないかと思います。

 

地方は全国紙より地方紙の購読者が多いので、地方紙に掲載された後の方が広がりやすいようです。

 

一度に広く多くの人に情報を届けられるテレビ。しかし、テレビの効果は限定的です。

 

特定の曜日と時間帯にそれを見ていた人しか情報を得られないからではないでしょうか。ホームページのアクセス状況を見ると、番組の放送時間中は瞬間的にアクセス数が伸びましたが、その効果はほんの一瞬でした。

 

新しい食べ物は市場開拓を覚悟せよ

 

ふぁくとりーNolleyは、何度かメディアで紹介いただきましたが、1ヶ月もすると元の状態に戻りました。

 

そこにはさまざまな理由が考えられますが、私は主に2つあると考えています。

 

1つは、地方の田舎町ではベーグルという食べ物が一般的な食べ物ではないことです。

 

そもそも、なぜべーグル店を開こうと思ったのか。それは、天草にベーグル店がなかったからでした。

 

しかし、地元ではまさにそれが大きな障害となりました。九州は甘いもの好きの人が多い地域。

 

醤油は、小麦と大豆と塩で作りますが、九州で売っている醤油には砂糖が入っていて、驚きました。味噌も甘みが強い麦味噌が主流です。

 

九州の中でも天草は特に甘いものが好きな人が多いようで、「甘くないものはケチくさい」という考え方を持つ人もめずらしくありません

 

一方、私は甘いものが苦手です。ベーグルに使う食材は、地元の旬の野菜や果物が中心で、甘さはかなり控えめ。

 

素材の味を大切にするために、砂糖は酵母を発酵させるときにしか使いません。

 

「天草には多くのパン屋さんがあるのに、なぜ甘いパンしかないのか。」と思っていましたが、地元の人にとってパンの代名詞は菓子パンなのです。

実際に営業してみて、甘くないパンは非常にウケが悪いことが分かりました

 

さらにベーグルは、普通の菓子パンと違って堅いことも大きなハードルでした

 

他のお店が売っていないということは、マーケットがないことの裏返しでもあります

まずは、ベーグルという食べ物を広めることから始める必要がありました。

 

食べ物は文化です。生まれ育った文化圏と異なる場所で飲食系のビジネスをする場合は、よくよくリサーチすることをおすすめします。

 

実店舗型のビジネスはエリアの平均収入と物価も要チェック

 

もう1つの理由は、価格だと私は考えています。

 

天草では、1個200円以上するパン類は高い部類に入ります。地元のパン屋さんで売っているものの多くが100円台で買えることを考えると、200円以上するベーグルは割高なのです

 

ふぁくとりーNolleyは、地元の食材にこだわっていることがウリですが、地方の田舎町に住む人にとってそれは「当たり前」。

 

メディアがきっかけでやって来る人は、ものめずらしさでやって来るわけですから、開業の経緯やコンセプトは知りません。

 

堅くて甘くない割高なベーグルに価値を感じる人は多くないでしょう。

 

それでも、だんだんと固定客がつくようになりました。

 

足しげく通ってくれる方に聞いてみると、ふぁくとりーNolleyを選んでくれるのは、街で生活したことのある人、移住者、転勤族という属性を持つことも分かりました。つまり、異なる食文化圏の経験者ですね。

 

 

さらに、「甘くない」ことが強みであることも分かりました。

 

特に、小さな子どもを持つ子育て世代にとっては、「添加物が入っていない」「季節を感じられる」「地元の他の店にないメニュー」が評価ポイントのようです。

 

地元の人からはさんざん「甘くないし、堅いし、おいしくない」と言われていたので、そうした声は大きな励みになりました。

 

ただし、甘くないベーグルを好む人は決して多くありません。

 

メディア露出の問題点は、ターゲットとしている客層にマッチしない層がやって来てしまうこと

 

そして、ものめずらしさでやって来た人は、リピーターになりにくいということを実感しました。

 

オープンして1年も経たないうちに、地元での販売に限界を感じた私は、一刻も早くネット販売を強化しなければならない、と強く思うようになったのです。

 

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