新規就農者の多くが選ぶ野菜。私たちが「果樹」を選んだ理由


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栽培する作物について私たちが影響を受けたのは『農!黄金のスモールビジネス』という本です。

 

日常的にリピートするという点では野菜の方が適していますが、この本を読んで「野菜はとにかく大変らしい」ことを知りました。

 

著者は山梨でぶどうを育てている農家で、脱サラ組です。

 

ぶどうは頻繁な手入れが必要ないこと、草刈りも手作業ではなく、乗用草刈機でやればそれほど大変ではない、という趣旨のことが書かれていました。

 

私達には当初から、農作物の栽培と販売だけでなく、農家民宿もやっていこうという思いがありましたので、一年中、種まきや収穫に追われる野菜農家は、自分たちが目指すべき姿ではないと感じました。

 

脱サラして農業しようと考える人にとって、参考になる部分がたくさんあると思いますので一度読んでみることをおすすめします。

 

「苗から植える」は非現実的。果樹はやめるところを引き継がせてもらおう

 

柿・栗3年、桃8年といわれるように、果樹は実がなるまでに少なくとも数年かかります

 

苗から育てていては、途方もない時間がかかる上、その間は無収入です。

 

定年退職後のリタイア組なら耐えられるかもしれませんが、現役世代、特に子育て家庭にそれだけの余裕はないでしょう。

 

そのため、私たちはご高齢を理由に、そろそろやめようと考えている農園を引き継がせていただくことにしました。

 

夫の就農条件は

  • 果樹であること
  • 成木(実が取れる木)がある農園を引き継げること

の2点でした。農作物がみかんであったのは、ご縁としか言いようがありません。

 

新規就農制度を利用しよう

 

これから農業をはじめようと考える人がぜひ利用したいのは、国の「農業次世代人材投資資金(旧青年就農給付金)」です。

 

これは、新規就農しようとする人に対して、就農前に研修を受ける就農希望者に最長2年間、年150万円を交付する制度

 

就農時の年齢が49歳以下なら利用できるので、対象となる人は多いのではないでしょうか。

 

ただし、研修を受けるには受け入れ農家を探さなければならないこと、交付期間の1.5倍の期間は農業者として働かなければ交付金の返還義務があるなどの条件に注意です。

 

農水省の制度に上乗せして、新規就農者のための制度がある自治体もあります。

 

年齢制限がゆるくなっているケースが多いようです。

 

新規就農を考えている人は、農水省の制度と移住先の自治体の制度を調べてみましょう。

 

“作って売るだけの農家は限りなくブラック”と思っておこう

 

「農業はブラック」と言われています。

 

本当にそうでしょうか?

 

作ってJAを通して売るだけの農家なら、そのとおりです。

 

我が家のみかん農園の8割が、ブランド果物のデコポン品種みかんですが、デコポンとして出荷できるのはJAの厳しい基準をクリアしたものだけ。

 

デコポン基準を満たしたものは、1kg800円以上の値がつきますが、デコポンになれなかったものもたくさんあるので、平均価格は1kg400円くらいとなっています。

 

ただし、これは売値ですので、ここから選別料や輸送費などの経費が差し引かれていきます。

 

最終的に手元に残るのは、半分くらいと考えた方がよいでしょう。

 

仮に1kg400円の場合、1トン売っても売上はたった40万円。

 

年商500万円を目指すなら12.5トン、年商1000万円を目指すなら倍の25トンを売らなければなりません。

 

みかんの収穫は冬から春先です。

 

この時期に集中して作業しなければなりませんが、これは、一人でとうていさばける量ではありません。

 

そのため、多くの農家が家族総出や、スポットでお手伝いをお願いするという方法をとっています。

 

こちらの記事にも書いたように、JAは一度に大量の農作物を出荷できるのがメリットですが、ブランド品と基準を満たさないものとの価格差が大きく、出荷時にはいくらで売れるのか分からないこと、年によって大きく価格が変動するなどのデメットがあります。

 

収入を上げるには、人を雇って大規模化するか、量を減らして単価アップするしかありません

 

最近は栽培方法にこだわった新たなブランドづくりや、自社サイトで売る農家、加工品を製造販売する6次化に踏み切る農家が増えていまが、農家全体の割合からするとそれほど多くないでしょう。

 

長らく薄利多売の構造が続いてきたので、それが当たり前だと思っている

 

もしくは大量の農作物をさばく作業に追われて、ほかのことを考えたり、したりする余裕がないというのが背景にあるのかもしれません。

 

また、一人農家や家族経営の農家が、何トンもの農作物を、JAを介さずに売り切るのは至難の業です。

 

実際にやってみると、多くの学びがあります。収入を農家1本に絞るのはリスクが大きいことを改めて認識した私たちは、量を減らして単価アップの道を選ぶことにしました。

 

今後は、もう少し加工品の製造販売や収穫体験などに力を入れていきたいと考えているので、農園の木を減らそうとしています。

 

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