「田舎にはなにもない」そう思っている人が多いようです。
実際、移住者だという話をすると地元の人に「ここ、なにもないでしょ〜?」と言われることがあります。
たしかに都会のように、駅前におしゃれなお店が立ち並んでいたり、大きな本屋さんがあったり、シネコンがあったりすることはありません(本屋とシネコンはわたしの趣味です)。
たまにそういうものが恋しいなと思うことはありますが、ないならないで楽しむ方法を見つけることはできます。
田舎にやって来て、増えたことの1つがホームパーティーです。
我が家は夫がみかんを作っていることもあって、知り合いには農業関係者が多くいます。
ホームパーティーをするときの楽しみは、作っているものを持ってきてくれること。
みかん農家なら柑橘、トマト農家ならトマト、ハーブ農家ならハーブなど。
持ち寄ってきたものを使って、その場で料理を作って、みんなでわいわい言いながら食べるって楽しい。
横浜に暮らしていたときにはなかったことです。
ホームパーティーをすることが増えた理由の1つは、お店の数が少ないこと。
50数年前まで天草は、本土から離れた大きな島でした。
そのためか、熊本県内でも天草はいまだに「へんぴなところ」というイメージが強いようです。
今の50代から60代くらいの人が若かった頃「天草に嫁に行く」というと両親親族から猛反対されたケースも多かったとか。
天草の大きさを説明するには、南北に長い天草の端から端まで行くのは横浜から御殿場に行くのと同じくらい
と想像してもらうとよいかもしれません。
それくらい広いところだと人がいるところもバラバラで、お店で待ち合わせるというのはなかなか大変なことなのです。
ましてや電車が通っていないので、行き帰りは自分で運転して行くことになります。
車で行くなら当然、お酒は飲めませんよね。
タクシーや代行運転で帰るのは距離がありすぎて、高くつきます。
そのため、お酒を楽しんでも帰れるように、夫婦や家族連れで来ることが多くなります。
人が集まると、必然的ににぎやかな状態になるというわけです。
ホームパーティーをよくするようになったもう1つの理由は、コスパのいいお店が少ないこと。
これは文化圏の違いでもありますが、東日本の人からすると九州のものは何を食べても甘く感じるはずです。
なぜって、醤油に砂糖が入っているからです。
福岡など北九州の方ではそれほど感じなくても、南の方に行くと甘さが強くなっていきます。
日本に砂糖文化が入ってきたのは、長崎から。
当時、砂糖は高級品で、一部のお金持ちだけが楽しめる贅沢品でした。
ここからはわたしの勝手な推測ですが、もともと島だった天草に砂糖が入ってきたのはかなり後のことだったのではないかと思います。一般の人が楽しめるようになったのは、さらに後のはずです。
なので、いまだに砂糖をありがたがる文化が根強く残っているのではないかと思っています。
実際、天草では「甘くない食べ物はケチってる」と考える人が多いみたい。
ただですね、食事が甘いのは……背景は理解しても、口に合うかどうかは別の話です。
ほとんど外食しないのに、せっかく食べに行った料理がおいしくなかったらテンションガタ落ちです。
特に、三度の飯が一日の中でかなり重要なものだと思っているわたしにとってはなおのこと。
だったら自分で作った方がいい、というのは自然な流れです。
同じ予算でも、自分で食材や飲み物をそろえればレストランで食べるよりもいい食材を買えますし
せっかく人が来るなら、ということでそのときを目指して新しい料理に挑戦してみることもあります。
新しいレパートリーが増えるのです。
気の合う人たちとわいわい食事を楽しむというのは、立派な娯楽の1つだと思います。
都会に住んでいると自宅で食事会をするというのは、なかなかないことではないでしょうか。
一年に一度開くかどうかのホームパーティーを家の中でするなら、きちんとテーブルセットしなきゃと思うかもしれないし
バーベキューができるような広い庭がある家も多くはないでしょう。
その点、田舎の家ならラフに楽しむことのできるスペースがたくさんあります。
頻繁に開催するので、テーブルセットにはほとんど気を配りません。
なにしろ「娯楽」がないのですから。
ウインドーショッピングや映画のような娯楽か、仲間たちとにぎやかに過ごす娯楽か。
どうしてもそうしたものが恋しかったら、福岡まで行くというのも選択肢です。
我が家も年に数回、外食したい!と思うときは福岡まで行きます。
熊本から福岡まで新幹線なら35分くらいです。
7日前までにJR九州でネット予約すれば片道1人2500円くらいで行けますし、おいしいものを食べにいくついでに
他の用事をくっつければ、ちょっとした旅行にもなります。
何を娯楽と考えるかは人それぞれですが、結局はどんなことに価値を置くかで決まるのではないかと思います。
自分で工夫したい人、あるものを楽しめる人ならなにもなくても十分、楽しめます。
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もっと詳しく知りたい方は、ぜひ天草に遊びに来てくださいね!
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